スペシャルインタビュー

対話を大切にし、互いに思い合い、鍛え合い、学び合える子どもを育てる「福岡市立千早小学校」

ここ十年ほど、再開発が進められている福岡市東区千早。JRと西鉄の駅が隣接し、九州の大動脈・国道3号線が通り、すぐ側には都市高速の入口もある。その交通の便のよさで県内外から多くの移住者が集まるこのエリアでは、児童数もまた増加しており、教育機関の役割が増しているという。今回は、「福岡市立千早小学校」の猪迫(いのさこ)校長先生に、同校の教育方針や取り組みについてお話を伺った。

「福岡市立千早小学校」猪迫(いのさこ)校長先生
「福岡市立千早小学校」猪迫(いのさこ)校長先生

合言葉は「もっと 明日も行きたくなる学校」

――現在の児童数について教えてください。

猪迫校長先生:本校は1963(昭和38)年に名島小千早分校として開校しまして、来年で60周年を迎えます。児童数については開校時から今日まで1,400名ほどにまで増えたり、逆に400名ほどにまで減少したり、と時代の流れとともに大きな増減を経験してきました。ただ、ここ10年ほどは再開発が進められた影響から増加傾向にあり、現在では児童数が1,000名を超え、大規模校のひとつに数えられております。

「福岡市立千早小学校」の歴史を説明する猪迫校長先生
「福岡市立千早小学校」の歴史を説明する猪迫校長先生

――教育目標と取り組みをお聞かせください。

猪迫校長先生:本校では教育目標に「思い合い、鍛え合い、学び合うことができる未来に輝く千早っ子の育成」を掲げています。また、子どもたちとの合言葉を「もっと 明日も行きたくなる学校」と設定して、明日も行きたくなる学校にするには、一人ひとりが何を頑張ればいいのか、友だちとどのように関わればいいのか、を先生と子どもたちが一緒に考え、挑戦してきました。

例えば先日、代表委員会が「明日ももっと行きたくなる大作戦を考えよう!」と銘打ち、各クラスに募集したところ、「みんなで仲良く遊べる活動をしよう」「ニコニコ言葉(ありがとう、おはようなど)を使おう」「ルールを守れば、気持ちがいいのでは」などさまざまな意見が集まりました。今は、その結果を代表委員会でまとめて全校に周知し、実践しているところです。

「福岡市立千早小学校」校門
「福岡市立千早小学校」校門

互いに交流しながら体育の楽しさを見つける

――とくに力を入れている学習分野はありますか。

猪迫校長先生:本校では1996(平成8)年から体育の指導に力を入れてきました。とくに今年は「体育の楽しさを味わってもらうにはどうすればいいのか」を研究しています。具体的には、ただ運動するのではなく、友だちのいいところを見つけたり、どうすればより良くなるのか意見を出し合ったり、と互いに交流しながら子ども自ら体育の楽しさを見つけられるよう指導しているところです。

広々とした新・体育館
広々とした新・体育館

千早の子どもたちは、すでに勉強や運動などそれぞれに光るものをもっています。そこにコミュニケーション能力や人間力が加われば、さらに魅力的な人に成長してくれる。その想いのもと、本校では「ソーシャルスキル・トレーニング」を取り入れながら、社会性の成長を図っています。

体育館の換気設備「クールヒートトレンチ」の説明
体育館の換気設備「クールヒートトレンチ」の説明

――特徴的な施設や設備はありますか?

猪迫校長先生:体育に関わるところでは、3年前に体育館を建て替えました。その体育館では「クールヒートトレンチ」という珍しい換気設備を導入しています。これは外気を一度、地中に通してから館内に放出することで、夏でも冬でもある程度、室温を一定に保つことができるシステムです。空調ほどの涼しさや暖かさはありませんが、これなら急激な温度変化がない空間で授業ができます。

コロナで加速したICT化で授業をスマートに

――コロナ禍で学校生活に変化はありましたか?

猪迫校長先生:世間一般的な変化はもちろんのこと、本校を含めた福岡市全体として、授業のICT化が急速に進みました。例えば、タブレットの導入です。福岡市ではすべての児童にタブレットが配布されたのですが、正直なところ導入当初は子どもよりも、職員の方が操作に苦慮しました。

それでも、子どもたちの学習環境で考えると、ICT化はさまざまな利点があります。これまでの授業で資料は教科書の写真を見るか、実物を用意するかくらいしか選択肢がありませんでした。それが、タブレットならその場で検索してみたり、数あるコンテンツから動画を見せたりと視覚化できるわけです。また、プリントだと印刷したものだけしか使えないわけですが、タブレットならドリルも豊富に用意しやすいので、子どもたちの進度に合わせた個別学習を容易に実践できます。

運動場から見た千早小校舎
運動場から見た千早小校舎

子どもに気軽に話しかけられる校長を目指す

――校長先生が子どもたちとの関わりで大切にしていることはありますか?

猪迫校長先生:可能なかぎり、子どもたちに声をかけることです。朝のあいさつはもちろん、子どもたちとすれ違うときには何かちょっと声をかけるようにしています。怪我している子や、暗い顔している子がいれば、どうしたと?と。声をかけることからその子の様子が見えてくるので、早い段階で対処できます。そのおかげか、最近では子どもたちから気さくに声をかけてくれたり、それこそ校長室に顔を出してくれたりする子もいて、むしろこちらが元気をもらっているくらいです。

「子どもたちから元気をもらっている」と話す猪迫校長先生
「子どもたちから元気をもらっている」と話す猪迫校長先生

――福岡・千早エリアの魅力をお聞かせください。

猪迫校長先生:小学校区は南北1.6kmに、東西600mと狭い範囲しかありません。それでも、校区内にはJR「千早」駅と西鉄「千早」駅が隣接していて、九州の大動脈・国道3号線も通っています。また、すぐ側には都市高速「香椎浜」ICもあって、交通の便はとてもいいエリアでしょう。

それに、校区が狭い、ということは通学時間が短いわけです。主な通学路には歩道や、歩道橋も整備されているので、低学年のまだ不慣れな子どもでも安心して通学できると思われます。

――最後に、先生が気に入っている場所はありますか?

猪迫校長先生:景色がいい場所、というわけではありませんが、個人的には学校前の歩道橋からの景色が好きです。学校が見えますし、何より子どもたちが通学する様子がよくわかります。子どもたちが元気に通学している。それだけで、私は嬉しい気持ちになるんです。私も、先生方も、丁寧に子どもたちと向き合いますので、安心して千早に引っ越してきていただければと思います。

学校前の歩道橋から子どもたちの元気な姿が見える
学校前の歩道橋から子どもたちの元気な姿が見える

福岡市立千早小学校

猪迫 広樹 校長先生
所在地:福岡市東区千早3丁目13番1号
電話番号:092-681-0831
URL:https://sites.google.com/fuku-c.ed.jp/eltihaya/index
※この情報は2022(令和4)年6月時点のものです。

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