「生きるたくましさ」と「温かい人とのつながり」を育む、ビオトープのある学び舎/福岡市立壱岐南小学校 山中校長先生
1975(昭和50)年に開校し、2024(令和6)年には50周年を迎えた「福岡市立壱岐南小学校」。校内には福岡市内の小学校で最大級のビオトープがあり、子どもたちが身近な自然に触れながら学校生活を送ることができる。今回は校長の山中先生に、学校の特徴的な取り組みやビオトープを活用した学習、学校のある「橋本」駅周辺の魅力について、お話を伺った。
地域のやさしさに見守られた壱岐南小学校
――まずは、「福岡市立壱岐南小学校」の概要と沿革をお聞かせください。
山中先生:本校は1975(昭和50)年に「壱岐小学校」から分離して開校しました。「生活する楽しさや喜び、生きるたくましさをもった子どもの育成」を学校教育目標とし、現在の児童数は557名、特別支援学級を含めて23学級、教職員は約50名の学校です。6年生は4クラス体制ですが、それ以外は3クラスずつとなっています。
――独自の教育内容や、特徴的な取り組みはありますか?
山中先生:市内の小学校では珍しいのですが、本校では朝の会が終わる8時35分からの約15分間を朝掃除の時間としています。掃除は一般的には昼休みのあとに行うことが多いのですがでも、清々しさの残る朝に行うことで、これから学びの時間が始まるのだという気持ちに切り替わりやすくなります。
――子どもたちや保護者、また地域の方とのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。
山中先生:本校には「図書ボラ」というボランティア制度があり、1年生を対象に読み聞かせを行ってくださるほか、毎年11月頃には人形劇もしてくれます。「図書ボラ」以外にも、花壇の手入れをしてくれる「花ボラ」もあります。
山中先生:PTAについても、いつも私たちを温かく見守ってくださっています。自治協議会主催で行われる「いきみないと祭り」では、毎年子どもたちがペットボトルで手づくり灯籠をつくっています。今年度は例年と違い6月という早い時期に開催されたこともあり、主催者から子どもたちに、灯籠はつくらなくても大丈夫と申し出がありました。しかし、子どもたちが灯籠をつくらないのもそれはそれでさみしいということで、PTA主催によるお祭りが9月に開かれることになったのです。
――基礎学力の定着や学習習慣を身につけるために力を入れていることはありますか?
山中先生:昼休みの後に、チャレンジタイムということで週に一度、読書タイムを設けています。近年、子どもたちの活字離れが指摘されるなか、集中して活字を読み、書かれてある内容を確実に理解することを通して、論理的な考えができるようになってもらえたらと思います。
その他、算数の基礎学力強化にも重点的に取り組んでいます。
保育園や中学校を交えた「保小中連携」で、地域の学びをサポート
――近隣の中学校や教育機関・地域の方々などと協働し、取り組んでいることがあれば教えてください。
山中先生:本校の学区は一小一中で、多くの子どもが「福岡市立壱岐丘中学校」に進みます。つい先日も、「福岡市立壱岐丘中学校」の先生と研修会がありました。そこにもともと公立の保育園だった「壱岐保育園」を加え、保小中連携の一環として年に2回ほど合同研修会を実施しています。
山中先生:また、本校のすぐそばにある「人権の街づくり館」では、3年生、4年生の算数・国語を中心に放課後補充学習会を行う福岡市の取り組み「ふれあい学び舎事業」が行われます。その延長で、せっかくなら他の学年も見ましょうということで、今年から5年生と6年生が加わることになりました。これは「ふれあい学び舎事業」とは関係のないもので、ボランティアとして対応してくれています。
ほかにも、学校が直接関与していることではないのですが、「グリーンコープ」さんのご協力で、金曜日の7時45分から8時10分の間で、希望者にはパンと牛乳を提供してくれるフードサポートもあります。ここでご紹介したことは一部でしかありませんが、いろいろなところで人と人とのつながり、温かさを感じられる街です。
――2003(平成15)年に完成したビオトープは、「こども環境デザイン賞」を受賞されたと伺っています。ビオトープを活用した取り組みを聞かせてください。
山中先生:本校のビオトープは、生物多様性の保全と地域生態系を活用した学び・遊びの場として設計・創出されました。市内の小学校にあるものとしては最大規模で、西日本の小学校でも最大級だそうです。「九州工業大学」の先生が中心となって進められたプロジェクトで、ビオトープの学習の際には、九州工業大学の学生さんがゲストティーチャーとして来てくださります。その他、ビオトープを維持していくための適切なアドバイスをいただくことや、卒業論文の参考にするために学生さんが本校を訪ねてくることもあります。
山中先生:学校としては3年生の2学期から、植物の観察や昆虫の観察などでビオトープと触れ合いますが、子どもたちはそれ以前からも水に手をつけたり、昆虫を捕るなどして遊みながら学びを得ているようですビオトープをきっかけに、子どもたちが環境について考えてほしいなと思います。
幼少期を橋本周辺で過ごしてきた校長先生が語る、変わりゆく街とその魅力
――校長先生から見た学校周辺エリア(「橋本」駅周辺など)の魅力を教えてください。
山中先生:私自身、幼少期は隣街の次郎丸で過ごしました。かつては高速道路どころか大きな通りもなく、もちろん地下鉄の駅もありませんでした。七隈線が開業したことで「博多」駅、「天神」駅ともつながり、当時としては信じられないくらいに発展しました。次郎丸に住んでいる私の兄も“本当に便利になったよ”と、感慨深そうに話していました。

山中先生:一方で、少し歩けば自然が残されており、周辺とは異なる穏やかな時間が流れています。弥生時代後期から古墳時代前期にかけての「野方遺跡」や、「木の葉モール」の裏には室町時代に創建された「橋本八幡宮」もあり、ここには古くから人々の暮らしがあったのだと実感できます。
――これからこのエリアに住みたいと考えている方にメッセージをお願いできますか?
山中先生:アクセスや買い物にも便利で、街もとてもきれいです。室見川沿いの桜並木をはじめ、少し歩くと美しい自然と出合うことともできます。これからの数年間でさらに発展し、違う表情を持つという期待感も魅力に感じます。生活するには本当によいところだと思いますよ。

福岡市立壱岐南小学校
山中剛校長先生
所在地:福岡県福岡市西区戸切2-17-1
電話番号:092-811-0955
URL:https://sites.google.com/fuku-c.ed.jp/elikimin/
※この情報は2025(令和7)年9月時点のものです。
