スペシャルインタビュー

九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりの様子と膨らむ期待

1911(明治44)年から、2018(平成30)年の移転完了まで実に107年の間、「九州大学」(以下、九大)の箱崎キャンパスが置かれていた福岡市東区箱崎。そんな、歴史と学問のまちでは今、九大のキャンパス統合移転を契機に、「箱崎キャンパス」跡地を中心としたまちづくりが進められている。今回は、九大とともに「九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザイン」(以下、グランドデザイン)を策定し、跡地のまちづくりに取り組む福岡市の九大まちづくり推進部計画調整課に同事業の成り立ちや構想、進捗などについてお話を伺った。

「九州大学箱崎キャンパス」跡地
「九州大学箱崎キャンパス」跡地

キャンパスの統合移転から始まったまちづくり

――今回のまちづくりの経緯についてお聞かせください。

計画調整課:“「九州大学箱崎キャンパス」跡地のまちづくり”の経緯としては、1991(平成3)年に九大が箱崎・六本松の両キャンパスと原町農場を、福岡市西区元岡・桑原地区に移転を決定したことから始まりました。その後、順次、統合移転事業が進められるなか、それに伴う、箱崎キャンパス跡地の計画的なまちづくりと円滑な跡地処分を進めるため、地元の代表、学識経験者などからなる検討委員会が、2013(平成25)年に「跡地利用将来ビジョン」を策定し、福岡市と九大に提言されています。また、福岡市と九大において、2015(平成27)年に「跡地利用計画」、2018(平成30)年に「グランドデザイン」を策定し、まちづくりに共通する整備ルールや将来の絵姿等を示しております。

グランドデザイン「まちづくりの方向性」 ※画像提供:福岡市 上記の図案は資料作成時点のもので、完成イメージではありません。
グランドデザイン「まちづくりの方向性」 ※画像提供:福岡市 上記の図案は資料作成時点のもので、完成イメージではありません。

100年後の未来に誇れる、持続可能なまちづくり

――計画の基本方針や将来構想について教えてください。

計画調整課:福岡市では、まちづくりの上位計画として「福岡市基本構想、第9次福岡市基本計画」があり、その中で、箱崎キャンパス地区を“機能を充実・転換する地区”に位置づけ、市街地内の貴重な大規模活用可能地として、大学の移転進捗を踏まえ、新たな都市機能の導入などを検討する地区となっています。

また、まちづくりの方針として、跡地利用計画において「福岡市の持続的な成長に資する新たな活力・交流を生み出す」「九州大学が存在した地として充実した教育・研究の環境を生み出し、人を育てる」「高度医療施設の立地や高い利便性を生かして、安全・安心・快適で健やかに暮らす」「(筥崎宮や旧箱崎宿などがある)千年のまち、大学百年の歴史文化資源を大切にする」「次世代の環境技術と豊かな緑を生かして環境と共生し、持続可能なまちをつくる」ことを掲げています。

長い歴史の中で大切に守られてきた「筥崎宮」
長い歴史の中で大切に守られてきた「筥崎宮」

これらの計画を踏まえ、福岡市と九大でグランドデザインを策定しており、グランドデザインにおけるまちづくりの基本的な考え方として、「九州大学が百年存在した地としてのブランドと、広大な敷地や交通といった強みを活かし、働く人や学ぶ人、住む人、訪れる人などこれまで以上に幅広い人々が集まり、イノベーションを生み出す新たな拠点を創出する」「千年以上に渡る箱崎の歴史や文化も踏まえながら、新たな拠点の創出に向け、イノベーションを生み出すチャレンジできるまちと、幅広い人々を惹きつける高質で快適なライフスタイルや都市空間づくりに取り組み、未来に誇れるまちを創造していく」こととしております。

「福岡市の都市空間構想図」 ※画像提供:福岡市
「福岡市の都市空間構想図」 ※画像提供:福岡市

――主なまちづくりの範囲と現在の進捗状況はどうですか。

計画調整課:グランドデザインでは、箱崎キャンパス跡地及び貝塚駅周辺(箱崎中学校や貝塚公園を含む)約50haのまちづくりに共通する整備ルールや将来の絵姿等を示しており、UR都市機構による“開発行為”、福岡市による“土地区画整備事業”を進めているところです。そのうち、九大所有(一部UR都市機構所有)の一体利用が可能なエリアにおいて現在、九大等と連携しながら、土地利用に係る公募に向けた検討を進めているところです。

まちづくりの課題を最先端技術で解決する“FUKUOKA Smart EAST”

――どのようなまちづくりが行われるのでしょうか。

計画調整課:具体的な機能等に関しては、公募において提案を求めていくことになるため、現段階では、まだ決まったものはありませんが、グランドデザインにおいて、「少子高齢化をはじめ、まちづくりの様々な課題を解決しながら、持続的に発展していくために、最先端の技術革新を導入することで、快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市を創造していく」“FUKUOKA Smart EAST”に取り組むこととしております。

これまで、まちづくりに関する最先端技術の有用性の検証や“FUKUOKA Smart EAST”の取り組みの市民等への理解促進のため、自動運転バス、自動で走行しながら除菌するロボット、声を文字で表示し、難聴者や外国人等とのコミュニケーションをしやすくする字幕ディスプレイなど、様々な実証実験を実施してきました。引き続き、箱崎キャンパス跡地等にふさわしい、先進的なまちの整備や多様な分野のサービスの誘導について検討を進めます。

ハンドルのない自動運転小型バス(2021年に実証実験) ※画像提供:福岡市
ハンドルのない自動運転小型バス(2021年に実証実験) ※画像提供:福岡市

――この地に期待される変化についてお聞かせください。

計画調整課:今回のまちづくりでは、グランドデザインにおいて、イノベーションを生み出す機能や人々を惹きつける高質で快適なライフスタイルを支える機能などの多様な都市機能を誘導するとともに、跡地等や周辺の居住者、来街者、働く人など様々な人が利用し交流する空間の創出を目指し、跡地等だけでなく、周辺地域の動線や既存公園等も考慮しながら、広場・公園等のオープンスペースを適切に配置することにしております。

また、土地区画整理事業や開発行為等によって、都市計画道路や区画道路、駅前広場の整備などが進められており、都市基盤や交通結節機能の強化が図られております。加えて、西鉄・地下鉄「貝塚」駅の東側に、JRによる新駅(名称未定)の設置が公表されています。「箱崎キャンパス」跡地周辺にはすでに西鉄・地下鉄「貝塚」駅と地下鉄「箱崎九大前」駅、JR「箱崎」駅があり、そこにJRの新駅が加わることでさらにアクセス性が高まることが想定されます。

 “歩の軸”の説明
“歩の軸”の説明

利便性の向上が期待される「貝塚」駅周辺
利便性の向上が期待される「貝塚」駅周辺

九大が100年存在した地としてのブランド力

――九州大学箱崎キャンパス跡地の特徴、魅力はどのような点ですか?

計画調整課:この地は、古くから箱崎キャンパスがあったことから、緑豊かな空間となっております。また、「九州大学」が100年存在した地としての歴史やブランド力もあり、都心部との近接性や交通利便性の高い立地特性から、福岡市の将来にとっても大変重要と考えております。また、今回のまちづくりでは、この地ならではの魅力も残すべく、九大を象徴する正門や工学部本館、本部第一庁舎などの近代建築物については九大で保存・活用が検討されております。

近代建築物として保存予定の九大キャンパス正門
近代建築物として保存予定の九大キャンパス正門

――最後に、これからこの地に住む方にひと言をお願いします。

計画調整課:「箱崎キャンパス」跡地等のまちづくりでは、千年以上に渡る箱崎の歴史や文化も踏まえながら、新たな拠点の創出に向け、「イノベーションを生み出すチャレンジができるまち」と、幅広い人々を惹きつける「高質で快適なライフスタイルや都市空間づくり」に取り組むことで、未来に誇れるまちづくりを目指し、土地の所有者である九大等と連携し、しっかりと取り組んでいきます。

福岡市 住宅都市局 九大まちづくり推進部 計画調整課

所在地 :福岡市中央区天神1丁目8番1号
電話番号:092-711-4358
URL:https://www.city.fukuoka.lg.jp/index.html
※この情報は2022(令和4)年8月時点のものです。