「福岡みらい病院」院長先生インタビュー

高度なリハビリテーション設備などで地域医療に貢献する「福岡みらい病院」

2015年(平成27年)に東区香椎照葉に移転し、急性期から回復期ならびに慢性期に対応する多機能型病院として地域の人々の医療に貢献している「相生会 福岡みらい病院」。高度なリハビリテーション設備を有する同院では、ほかの医療福祉機関と連携しながら最適な医療環境を提供しています。今回は、院長の石束先生に病院の歴史や理念、今後の展望などについてお話を伺いました。

「福岡みらい病院」
「福岡みらい病院」

地域の人々に密着した、幅広い診療科目

――病院の歴史、設立の経緯について教えてください。

石束院長:2011(平成23)年、博多区吉塚に「新吉塚病院」を設立しました。東区香椎照葉に新築移転したのは2015(平成27)年で、同時に「福岡みらい病院」と改称。2016(平成28)年にそれまで本館の隣にありました急性期病院の「杉岡記念病院」と統合し、急性期から回復期、さらに慢性期まで対応できる現在の形態となりました。

――診療科目、病床数について教えてください。

石束院長:診療科目としてはリハビリテーション科、内科、循環器内科、脳神経内科、外科、脳神経外科、リウマチ科、整形外科、麻酔科の9科目があります。

病床数としては、整形外科手術を目的とした一般病棟が40床、術後や病後の回復を目指す回復期リハビリテーション病棟が146床、医療保険適用療養病棟が46床、障害者施設等一般病棟が99床、さらに軽度の急性期治療を担う地域包括ケア病棟が87床があり、全体で418床の病床を有します。

――院長先生の経歴につきましてもお聞かせください。

院長の石束隆男先生
院長の石束隆男先生

石束院長:主に脳卒中、高血圧などの内科を専門としております。1975(昭和50)年に「九州大学」医学部を卒業、同年4月には同大学第二内科に入局、1982(昭和57)年から2年ほどはニューヨーク市マンハッタンにある「コーネル大学」に留学させていただきました。その後は、「九州大学」医学部の第二内科、「九州労災病院」の副院長、「新日鐵八幡記念病院(現・製鉄記念八幡病院)」の理事長・院長などを経まして、2015(平成27)年4月から当院で院長を務めさせていただいております。

地区の病院と連携し、患者目線の医療を提供

――病院の理念・基本方針など詳しくお聞かせください。

石束院長:私の尊敬する佐渡島前院長からの理念『心を尽くした最善の医療を』を引き継いでいます。具体的方針は「一人ひとりの要求に気付き、思いに寄り添います」「尊厳を重んじ、個性に応じた医療を実践します」「信頼される医療を目指し、十分な説明と情報を提供します」「他の医療福祉機関と連携し、生活復帰の支援を行います」「専門職としての誇りと責任を持ち、日々研鑽します」「相互信頼を育み、患者目線でチーム医療を構築します」の6方針です。

――「他の医療福祉機関と連携」とは具体的にどのような連携でしょうか?

石束院長:病院ごとに役割分担があります。当院は急性期はもちろん、亜急性期から回復期、さらに慢性期に至る広範な役割を担う多機能型病院です。そのため、当院で手術からリハビリまでというパターンに加え、他の病院の患者様を受け入れてリハビリなどをしていただく。そして体力が回復したあとには帰宅されるか、それが難しい場合には福祉施設をご紹介する、などの様々な状況に応じた連携がとれる病院です。

治療後の体力回復にはどうしても時間がかかります。それこそ一般の整形外科でも2ヶ月とか、脳卒中では5ヶ月とかかかります。当院では整形外科で手術した後も回復期病院ならではのリハビリを実施し、患者様にはしっかりと体力回復に専念していだだくわけです。

――「患者目線でチーム医療を」についても具体的に教えてください。

石束院長:筋力低下から麻痺、言語障害など症状は患者様ごとに様々です。そして、病院でしっかりと治療をしたいとか、反対にすぐにでも帰宅したいとかご要望も様々ですので、患者様の症状やご要望に合わせたケアをチーム医療で対応しております。

高度なリハビリ設備で、機能回復をサポート

――「福岡みらい病院独自の取り組みについてお聞かせください。

石束院長:当院は回復期病院として、多くの機能を有しております。特に、リハビリ施設の充実には力を入れておりまして、本館の1階・2階、別館の3階、そして高度リハビリテーション施設の3施設に分かれています。本館の1階は理学療法、2階は作業療法のための施設です。1階には歩行アシストロボット(TOYOTAウェルウォーク)やHonda歩行アシストなど各部位の筋力回復のためのロボットリハビリテーション機器。2階にも上肢ロボット型運動訓練装置や随意運動介助型電気刺激装置、そして和室やキッチンなど日常生活の細かな作業の訓練設備を整えています。

本館1階 リハビリテーションセンター
本館1階 リハビリテーションセンター

歩行アシストロボット(TOYOTAウェルウォーク)
歩行アシストロボット(TOYOTAウェルウォーク)

石束院長:また、別館は整形外科の病棟です。膝や腰などを当院で手術された患者様の機能回復のためのトレーニング設備を整えています。そして、入院中の生活動作を患者様でできるよう、早期退院ができるように動作指導や自主訓練の指導もしております。

高度リハビリテーション施設は退院された患者様が、その後も機能改善や維持のために訓練を続けられる通院型の施設です。専門の医師と理学療法士がいますので、病院の延長線上として適切なプランを立てつつサポートをしております。ちなみに、当施設は車椅子のままトレーニングができる設備も整えています。現在は車椅子ラグビーの強化選手の方々にも練習施設としてご利用いただいています。

高度リハビリテーション施設
高度リハビリテーション施設

高度リハビリテーション施設内のトレーニングルーム
高度リハビリテーション施設内のトレーニングルーム

――そのほか、地域に根ざした取り組みなどはされていますか?

石束院長:当院は福岡市東区の「ブロック支援病院」に選ばれています。ブロック支援病院とは「在宅医療の基盤となる病診連携・診診連携体制づくりの支援」を目的として、福岡市各区の医師会から選定された病院で、主に各区内の医院や診療所とのネットワークの形成と、訪問診療をされている在宅医の方々の後方支援を行うものです。

一般的に急性期病院は軽い肺炎や、腰椎の圧迫骨折のような手術を必要としない状況では入院を断られることがあります。しかし、そうした軽度の症状でも、自宅での治療は患者様には辛いものです。当院ではブロック支援病院として軽度の患者様も受け入れて、1ヶ月くらいの短期治療をさせていただき、その後は在宅治療でサポートしています。

街、人々とともに成長できる病院を目指して

――今後、チャレンジしていきたい取り組みはありますか?

石束院長:がん治療をされている患者様の受け入れを進めていこうと考えています。がんの化学療法はどうしても患者様に多大な負担がかかりますので、主となる治療は大学病院などでしていただいて、その後の維持期を当院で過ごしてもらうという流れです。

――受け継いでいきたい伝統などはありますか?

石束院長:香椎照葉には2015(平成27)年に移転してきましたので、伝統はこれから積み上げていく段階です。患者様を第一に考え「心を尽くした最善の医療」の病院理念を提供していく、ということです。

香椎照葉は海を埋め立ててできた新しい街です。家も、商業施設も、学校も、それこそ病院もすべてが新しいもので、これから根づいていくものばかりです。当院としては、地域の人々と交流しながら街と共に発展していければと思います。

――具体的に地域の人々と交流している取り組みがありましたら教えてください。

石束院長:当院は大きなガラスを採用して燦々と太陽の光が降り注ぐように設計されています。以前、ある患者様から「ここは病院とは思えないほど明るくて、すごく気持ちがいいのでまた来たくなります」とご好評いただいたことがあるほどです。

本館 1階 アトリウム
本館 1階 アトリウム

石束院長:また、1階のフロアは広々としていて、コンビニエンスストアも設置されていますので、地域の人々が気軽に立ち寄りたくなる、交流の場としてもご活用いただきたいです。これまでにはプロの演奏家を招いて150人規模のコンサートを開催したり、書道教室やフラワーアレンジメント講習などのワークショップを開講したりもしてきました

住みやすく、働きやすい新緑の街「香椎照葉」

――院長先生ご自身が感じられます、街の魅力はどこでしょうか。

石束院長:香椎照葉は何もかもが新しい街で、日々どこかしらが開発されています。来年には高速道路が開通して、博多までのアクセスはよりよくなるでしょう。また都市計画も進められ、信号機は少なく電線は地中に埋められています。中心部には大規模公園があり、街全体としても緑地化がされていて住みやすく、働きやすい地区です。

――最後に、これから香椎照葉に住まれる方に向けてメッセージをお願いします。

石束院長:香椎照葉は街もそうですが、住民も若い世代がとても多い。当院も香椎照葉に移転してきたばかりでまだ新しいので、地域の住民たちと一緒に街の歴史を積み上げて、一緒に成長していきたいと思います。そして「街のコミュニティセンター」として地域に根ざし、信頼される診療を心がけてまいります。どうぞお気軽にご相談ください

石束隆男先生
石束隆男先生

相生会 福岡みらい病院 石束隆男先生

所在地:福岡市東区香椎照葉3-5-1
電話番号:092-662-3001
URL:https://www.fukuoka-mirai.jp/
※この情報は2020(令和2)年9月時点のものです。