白木原・大野城エリアガイドSHIRAKIBARU/ONOJO AREAGUIDE

せんだんの木のように。あたたかな地域で子どもたちの自尊感情を育む「大野城市立大野小学校」

国指定特別史跡である「大野城跡」や「水城跡」をはじめ、史跡や文化財が数多く出土する長い歴史をもつ大野城市。豊かな自然にも恵まれながら、JRと西鉄の駅、都市高速と九州自動車道の入り口もあり、都市部へのアクセスの良さで県内外から多くの移住者が集まる。

今回は、市の中心部に近く児童数は地域最大規模を誇り、「牛頸川」や「御笠川」の河川のうるおいも身近に感じることができる「大野城市立大野小学校」を訪ね、梶幸男校長に同校の教育方針や取り組み、地域の魅力についてお話を伺った。

「大野城市立大野小学校」校長 梶先生
「大野城市立大野小学校」校長 梶先生

創立133年を迎える歴史ある「大野城市立大野小学校」

——まず貴校の沿革と、現在の児童数、学級数についてご紹介ください。

梶校長:今の大野城市となる以前、この一帯には乙金村(おとがなむら)や筒井村(つついむら)、牛頸村(うしくびむら)などの町村にそれぞれに学校があり、それらが統合されて本校となりました。どこまでを本校の前身とするかによりますが、「大野」という名前が登場する時期で考えますと、「大野尋常小学校」が1890(明治23)年に創立されまして、2023(令和5)年で133年を迎えました。

2023(令和5)年5月1日時点で児童数は1,005名、学級数は39です。大野城市内では一番大きな学校で、周囲の5市(大野城、春日、太宰府、筑紫野、那珂川)でも3番目の規模を誇ります。

1,000名以上の児童が通う「大野城市立大野小学校」の校舎と、広々とした校庭
1,000名以上の児童が通う「大野城市立大野小学校」の校舎と、広々とした校庭

——シンボルツリー「せんだんの木」があるとお聞きしました。

梶校長:かつて福岡県は、就学率と出席率、施設・校具の充実、適切な学習指導、子どもたちの学業成績について学校を表彰していたことがありました。本校がこの表彰を受けたのが1914(大正3)年で、その時の記念として大野市牛頸(うしくび)の山からせんだんの若木を採ってきて、校庭に植えたものが「せんだんの木」です。

福岡県から表彰された際の旗
福岡県から表彰された際の旗

せんだんは幼木のころから香りが良い木として知られており、「大野小学校の子どもたちも幼いころから何かしら光るものをもっている」、そのことと掛けて「せんだんの木」が選ばれました。本校ではこの木を大切に守ってきており、今では幹回りが4メートルほどにまで成長しています。

学校のシンボルツリーとなっている「せんだんの木」
学校のシンボルツリーとなっている「せんだんの木」

日々の”挨拶”から、子どもたちの自尊感情を育てる

——貴校の掲げる教育目標について教えてください。

梶校長:本校は学校教育目標に「社会力を身につけた自尊感情の高い子どもの育成」を掲げています。人との関わりが希薄になりがちな今だからこそ、子どもたちが社会に出たときに人と、社会と関わっていく力が欠かせません。そして、積極的に周りと関わり、自分自身をしっかりと表現していくには特に自尊感情が大切です。

義務教育である小学校の6年間と、中学校の3年間を過ごすと、子どもたちは自分自身の進路を決めることを迫られます。それは進学先をどこにするかだけでなく、自分はこれが得意だとか、こんなことに挑戦してみたいだとか、自分の将来像を考えることを含めてです。

小学校生活での、子どもたちの成長についてお話いただいた
小学校生活での、子どもたちの成長についてお話いただいた

自尊感情が育っていない子の多くは、この自分の将来像が描けなかったり、心の中では描けていていても「どうせ自分は〇〇だから」と否定しがちです。子どもたちが自分の将来を肯定的に見られるように、堂々と周りに表現できるようになるかは、小学校生活でどれだけ将来像を描く力、すなわち自尊感情を育めるかにかかっていると考えております。

——自尊感情を育むために積極的に取り組まれていることはありますか?

梶校長:本校では昔から子どもたちの心の成長を第一に据えて、道徳を中心とした教育を進めてきました。そして今、一番大切にしていることが挨拶です。自分から挨拶する、そして相手からも挨拶される、という人と人との関わりを通して、子どもたちは他人から認められていると実感し、そこから自尊感情が育まれると考えるためです。

また、ここは地域の方々が素敵で、PTAの保護者だけでなく、「がくろの会(通学路安全連絡協議会)」など大変多くの地域ボランティアが子どもたちの登下校を見守ってくださっています。毎朝、子どもたちがそうした保護者やボランティアなど学校外の方々と挨拶を交わせるというのは、本当にありがたいことだと思っております。

多くの地域の方々にも登下校を見守っていただいている
多くの地域の方々にも登下校を見守っていただいている

住民も行政も、教育に熱心な地域性

——そのほか地域環境を活かした教育活動などありますでしょうか?

梶校長:本校の裏手にある牛頸川を渡ると、すぐそこには「大野城市役所」や「大野城まどかぴあ」、「大野城 心のふるさと館」があります。「大野城まどかぴあ」はホールや図書館、生涯学習センターなどがはいる市民のための多目的複合施設で、「大野城 心のふるさと館」は大野城一帯にある遺跡からの出土品の調査、収集をしている文化施設です。

「大野城 心のふるさと館」
「大野城 心のふるさと館」

また、大野城市は教育行政に力を入れている地域でもあり、市役所からゲストティーチャーをお招きして上下水道やゴミのリサイクル、市議会のことなどを教えてもらうこともあります。本校としては、こうした地の利を生かした教育活動にも積極的に取り組みたいと考えております。

——ICT教育の普及にともない、貴校の教育環境は変わりましたか?

梶校長:近隣の市町と同じように、大野城市でもまずは1人1台のタブレットを支給されています。また、大野城市がとくにこだわったのが、大型提示装置(モニター)を各教室に1台ずつ導入したことです。

吊り下げ式の大型モニターが設置され、授業で活用されている
吊り下げ式の大型モニターが設置され、授業で活用されている

これにより昔は紙に手書きや印刷したものをプロジェクターで投影していたのが、タブレットとモニターをWi-Fiで接続して手軽に提示できるようになりました。先生が用意した資料を紹介したり、タブレットのカメラを通して子どもの作品をリアルタイムで共有したり。また、子どもたちが自分のタブレットで撮影した画像を送り合うこともできます。

一方で、子どもたち一人ひとりがタブレットをもっていることで、それぞれの進度に合わせた教材を選択し、自分のペースで学習を進めることも可能です。このようにICT教育が普及したことで、全体に共有できること、個別に進められること、この両方の良さを実感しております。

通学路の見守り活動が盛んで、登下校も安心

——通学路の雰囲気や安全性についても教えてください。

梶校長:通学域である「白木原」駅周辺から小学校までの通学路は約1キロあります。以前は西鉄天神大牟田線が地上を走っていましたので、通学路上に踏切があり大変危険な状況でした。それが、2022(令和4)年に高架化され、今では通学路に事故が多発するような危険な場所はありません。ただ、横断歩道をはじめ、一般的に注意すべきとされる場所というのはいくつかあります。

そういったところには、先ほどもご紹介しましたように毎朝、PTAの保護者、「がくろの会」など、地域のボランティアが立たれて挨拶を交えながら、子どもたちが横断歩道を安全に渡れているのかなどを見守ってくださっています。

保護者・地域の見守りがあるので、通学路も安心
保護者・地域の見守りがあるので、通学路も安心

あたたかく子どもを育む環境が魅力の大野城・白木原エリア

——大野城・白木原エリアで魅力だと感じる点を教えてください。

梶校長:白木原エリアで考えますと、西鉄天神大牟田線「白木原」駅とJR九州鹿児島本線「大野城」駅に挟まれており、すぐ近くには九州自動車道「太宰府」ICと福岡都市高速「水城」ICがある、福岡市や北九州市など都市部にアクセスしやすい立地です。それでいて、周囲には「福岡県営春日公園」をはじめ、大小さまざまな公園が整備されていて自然も豊かな地域です。

豊かな自然が広がり、豊富な遊具もそろう「福岡県営春日公園」
豊かな自然が広がり、豊富な遊具もそろう「福岡県営春日公園」

また、本校をはじめ、周囲には「大野城市立大野中学校」、「福岡県立筑紫中央高等学校」、「福岡県立春日高等学校」、「九州大学筑紫キャンパス」など教育施設も充実しています。

そして何より、大野城市は行政も、住民の方々も教育に熱心で、地域で子どもを育てるという意識が根付いている土地柄です。学校も、行政も、そして子育て世代にあたたかい地域ですので、安心して大野城・白木原に引っ越してきていただければと思います。

 
社会や人と人との関わりを大切にし、自分自身を認められる子どもを育てる
社会や人と人との関わりを大切にし、自分自身を認められる子どもを育てる

大野城市立大野小学校

校長 梶幸男先生
所在地:福岡県大野城市瓦田3-2-1
電話番号:092-581-1027
URL:https://www10.schoolweb.ne.jp/weblog/index.php?id=4010006
※この情報は2023(令和5)年6月時点のものです。

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